Mac にようやく移行

3年前に購入した ThinkPad X60s の筐体が限界に近づいてきたので、ラップトップを買い替えることにしたのが12月。流石に Windows OS にはもうウンザリだったので アルミ筐体 MacBook 2.4GHz (MacOS X 10.5 (Leopard)) に移行。

ハード面
幅32.5cm x 奥行き22.7cm x 高さ2.41cm とワイド画面で、2.04kg とかなり重いものの均一に薄く造形は非常に美しい。ThinkPad で言うと、X300 のワイドスリムな筐体に ThinkPad T系の CPU を載せたという感じか。重さを許容すれば良いパランスかもしれない。ワンショルダーバッグへの収まりはむしろ X60 より良い。

その他 X60 に比べて特に良いと感じたポイントは、暗闇で自動的に光るバックライトキーボード(キーボードライトより明らかにスマート)、ギミック感の無いスロットローディング式光学ドライブ(嵌ると大変そうだが壊れなさそう)、磁石式の MagSafe 電源ポート(ThinkPad のアダプタは差し込み口を曲げてショートしたのが3つはあったような)、マルチタッチトラックパッド(広い、多様なジェスチャーに対応)、コードの収納まで意識したアダプタ。今までラップトップではトラックポイント派だったのだけど、マルチタッチトラックパッドの使い心地の良さはトラックポイントを上回るように思う。キーボードの質感もポリカーポネイトのモデルに比べてパシャパシャ感が低減されており 許容範囲。アルミ筐体の MacBook は全体的に堅牢という感じがする。デザインは全体として細かいパーツまで非常に良く考えられており、感心する。

一方バッテリの持ち時間の短さ、別コネクタを必要とする独自のディスプレイポート、フルフラットにならない液晶ヒンジ、グレア液晶などは微妙だと思う。仕方が無いのでバッテリを一つ予備で買っておいた。新 MacBook Pro のように内蔵バッテリでバッテリ寿命が8時間ぐらい持てば良かったなあ。

CPUクロック/メモリ/HDD は 2.4GHz/4GB/320GB なので X60s 比でほぼ倍増。非常に快適。

ソフト面

Leopard (Mac OS X)XP (Windows) と比べるのも申し訳ないぐらい良く出来ている。安定していて、起動も早く、何よりゴミ IE が入っていない!フォントもヒラギノを始めとして綺麗で、UI も遥かに洗練されている。その他不要なソフトがバンドルされていない点も良く、BSD系コマンドの癖はあるが UNIX なので研究環境の整備も早い。Cygwin のように IO が遅かったりしないので、そのまま MacBook で実験も可能。標準のソフトの出来もよく、ブラウザ/メーラーは結局は Windows からの移行もあって Firefox/Thunderbird を入れたけど Safari もカスタマイズすれば firefox から乗り換えられないことも無いというぐらいの完成度だ。特に感心したのは putty をタブ化したぐらいの機能を持つ Terminal。Carbon Emacs (自前 build)IME の制御に難がある点を除けば Meadow と遜色無い感じ。ただし、Spotlight, Dashboard, Expose, Spaces は使っていない。

キーバインディングには Cmd があるために少し苦労した。通常ソフトの Cmd 系と Emacs の Ctrl 系で分かれるので、Emacs を除いて Cmd と (Caps Lock と入れ替えた) Ctrl を入れ替えた。また Terminal で Emacs 風キーバインディングとタブ操作関係で Cmd と Ctrl がごちゃまぜになるので、KeyRemap4Macbook で Terminal のみ emacs 系のコマンドのみ部分的に Cmd と Ctrl を入れ替え,さらにタブ移動の操作を Firefox/Terminal/Emacs 全てで Ctrl+<, Ctrl+> で統一的に移動できるよう調整した。タブ移動の操作が無いアプリケーションでは、標準のキーボードショートカットの機能を使ってキーバインディングを割り当てた。この辺りのカスタマイズ機能が OS レベルでユーザに提供されているのも嬉しい。これでほぼストレスフリーな状態に。Firefoxkeyconfig (+functions) で微調整。

ソフトの UI に比較的一貫性があるのも良い。メニューの配置のスペースの取り方など、空間的なバランスが取れている。レジストリもなく、インストール/アンインストールも明快で、ディレクトリ構造がぐちゃぐちゃと untidy な感じにならない(あるいはユーザからそう見えないよう配慮されている)。上記の他に、Witch, Growl, Namely, The Unarchiver, iStat meues, AppCleaner, InputSwitcher, Windows Wrangler, Secrets, Dockless, MainMenu, Mxdvi, 辺りを入れておく。

研究環境は MacPorts で GCC44, Ruby, LaTeX, Gnuplot なども簡単に最新版を揃えることが出来た。また、プレゼン用に iWorkKeyNote を少し使ってみたが、図や文の位置の調節が PowerPoint よりやりやすく綺麗なスライドが出来そうな感じで、さらに LaTeX で書いた数式を入れるために使う LaTeXiT なども(例えば数式エディタなどと比較して)非常に出来が良い。

幾つか気になった点は、必須ソフトにシェアウェア/ドネーションソフトが目につく、Finder(Explorer)で Cut & Paste ができない、Windowsirfanview, pfwd (port forwarder) の代替が無い、といったあたり。

Parallels で一応 Windows XP も入れておいたけど、Pages / Keynote で .doc / .ppt(x) は見られるので、ほとんど使う必要はなさそうだ。

追記
port forwarder の代替は Lighthouse というのがあるようだが、例によってシェアウェア。代わりに ssh を自動再接続してくれる、autosshmacports でインストールして使用中。

結論
現状の用途では Windows の利点はほとんど 0 という印象。Mac OS X は OS, ソフトとも UI が洗練されている。ハード面でもバッテリ・液晶辺りを許容できれば、文句無し。ハードの選択肢が少ないことは分かるが、値段もこなれて来た今、家庭用にでも Windows を選ぶ理由はかなり少ないと思う。Firefox の方が IE より完成度が良くても最初から入ってる IE の方がシェアが高いのと同じで、MacWindows から選んで Windows という選択肢になっているわけじゃなく、国産メーカーを選んだら Windows が入ってたという状態なのではあるまいか。Mac OS X のシェアももうすぐ10%を超えそうだけど、OSx86 - Wikipedia が公式に認められれば(国産メーカーのラップトップで Mac OS X が選択できるようになれば)、30%ぐらい行っても全然不思議じゃないと思う。