悪いことは重なる
週末に親類に不幸があり,ただでさえ気が重い連休明けだった.同僚氏の新調した草履の鼻緒がミーティング中に切れるなど,仕事中も嫌な感じがしていたが,少し帰るのが遅くなって気がついたら八時半前.急いで駅に向かえば八時半過ぎの電車にも間に合いそうだったが,一本遅らせたほうが楽だし乗り換えた後に座れる可能性も高そうだったので,ゆっくり歩いて八時四十分過ぎの上り列車に乗車.さあ,出発と思ったら,ちょうど反対側のホームで下り列車が急ブレーキを踏む音がした.しばらくして,車内アナウンスで,当駅で人身事故発生との報せ.
当分運転を見合わせるということで空いた席に座って待っていたが,これがまあ確かにさっぱり出発しない.野次馬が停車中の電車から次々と降りて,警察がやってきて,救急車がやってきて,ホームは大混雑.目撃して気分が悪くなった女性が介抱されたり,事故車両の乗客がみんな降ろされたり, KEEP OUT のテープが貼られたり,車両と車両の間をライトで照らしたり,見るとつらくなるものをビニールシートで隠したり,そのような一部始終を車内から眺めていたが,ドアが開きっぱなしなものだから,すっかり身体が冷えきってしまった.その間じゅうずっと駅員は,救出活動中です,最寄り駅まで15分で歩けますというアナウンスを繰り返していた.電車が移動してからも警察による現場検証.
結局,電車が動いたのは十一時頃.人身事故でここまで遅れたのは初めてだけど,事故駅というのはこんなものなのかな.しかし,まさか終電になるとは思わなかった.人身事故で電車が遅れると,飛び込んだ人に暴言を吐く人もいるけどあまりそういう気持ちにはならなかった.人生つらいことは沢山あるし,一生懸命つらい思いをして生きていても最後は結局死んでしまう.死ぬ選択を決断できる勇気と自由がある人の方はある意味で恵まれている.世の中もっとつらい思いをしていても死ねない人もいるし,懸命に生きようともがいていないと生きていられない人もいる.死ぬのも生きるのもその人なりの事情がある.
ここで話が終わったらまあ良かったのだけど,乗り換えた終電でもうひと揉めあった.事の次第はこう.列車に乗る際に列の先頭に並んでいたので,終電には(並んでいたドアからは)一番に乗れて,ボックス席の入り口付近に立つことになった.そこに行く途中で隣のドアから猛烈な勢いで突進してきた客がいて,なんだか嫌な予感がしていたのだけど,池袋に空いた席に座ろうとしたらカバンを置いて席を取ろうとしてきて*1,(すでに座る体勢に入っていたので)そのまま座ったら,そのカバンで顔面をしたたかに殴打された.そしてその客は,叩くやいなやそのまま逃げて行きましたとさ.
これだけ不幸が重なっていなければ多少なりとも怒ったかもしれないが,そういう気にもなれず.ただがっかりした.長距離通勤に耐えられるのも家族が待っていればこそ.こんな目にあって帰って家に誰もいないというのは,なんだか人生を損なっている感じがする.
[追記] そう言えば,いつぞや書いた小田原おじさん(湘南新宿ラインでの風変わりな光景 - ny23の日記)健在だった.みんな戻ってくるんだ,と連呼していた.なんだかホッとした.