ひみつ堂@谷中

天然氷のかき氷が恋しい季節がやってきた.先週は阿左美冷蔵@秩父宝登山道店に行って,おとめの苺ミルク(800円)と沖縄黒みつ(700円)を食べたのだけど,杉の木のように縦に高く積まれた氷は掬いにくく,氷の削り方ももう一つ(天然氷の店にしては珍しくがりっとした氷の小塊が含まれていて)でミルクは甘さがくどく,最後はもういいやという気分になっていまいち満足できなかった.そもそも店まで車で一時間以上かかる上,祝日でもないのに10人以上並んでいて待っている間に暑さが和らいでしまったのも良くなかった.労多くして益少なしとはこのことで,阿左美冷蔵はもう行かなくてもいいなと思った.
それからずっと,何だか納得がいかない気分が続いていたので,かき氷日和の今日,出勤前にかき氷を食べに行く事にした.こういうとき普段ならだるまや餅菓子店@十条に行くところだけど,学会から戻って積まれていた査読(二学会分)がちょうど昨日終わったので,のんびりしても良いかなと思い,ひみつ堂@谷中に行ってみた.千駄木側から行くと谷中銀座の途中,階段を上がる手前の道を右に少し入ったところにある.平日だというのに(学生が休み入ったからか)6, 7人並んでいたが,回転良くほどなく入ることができた.
店内に入ってみると,奥まで延びたカウンター・長テーブルに20人近い人が座っており,思いのほかキャパシティが大きい店であることが分かった.入り口で注文してお金を払い,お茶をやかんからセルフで汲んで手拭きをとったら空いている席につくというスタイル.ひみつ堂のTシャツ(店内販売あり1500円)を着た,学校が夏休みと思われる(おそらく店員の)子供が接客を手伝っていて,いかにも庶民的でのんびりとした雰囲気だ.
自分の注文の番が来たので,さてお茶を汲んで移動しようとしたのだけど,ちょうど目の前のカウンター席(入り口から入って一番手前の席)が空いていて,そこに通された.その席はちょうど手動の「初雪」かき氷機(中部コーポレーション製 HA-110S)の目の前だったので,氷が削られるさまを時間つぶしに眺めていた.一片約15cm程度のキューブ状の氷を店主・店員二人で休みなくガリガリと削りながら,途中で練乳(ミルク)と思われる仕込みを重ねたり,はてまた水につけて冷やした瓶から苺や河内晩柑のとろっとした果汁をかけたりして一つのかき氷を仕上げていく.その間,薄くスライスした(おそらく天然氷)を(お茶を入れた)やかんに頻繁に放り込んでいた.そんな風景を眺めていたら気分は否が応にも盛り上がってきた.
山梨穂坂の白鳳桃(午前中で売り切れ)、はちみつレモン,ブルーベリーヨーグルト,抹茶みるく,河内晩柑,紫陽花,生メロン,ラズベリー,ひみつのいちごみるく(以上,himitsudo on Twitter: "ひみつ堂、7月27日(金)のかき氷メニューは…山梨穂坂の白鳳桃、はちみつレモン、ブルーベリーヨーグルト、抹茶みるく、河内晩柑、紫陽花、生メロン、ラズベリー、ひみつのいちごみるくです。しばらくは、蜜のお取り置きができず、ご迷惑おかけします。11時~20時営業です。"より引用),夏の赤しそなど興味深いシロップがあるなか自分が選んだのは(愛媛産)河内晩柑(はちみつレモン,夏の赤しそなどと迷った).自然で薄いレモン色のシロップは果汁100%という感じで,砂糖のべとつく甘さがなく,代わりにすりつぶした河内晩柑の粒が感じられる爽やかな味わいだった.お腹が減っている状態ならもう少し甘みがある方が良かったかもしれないが,生憎お腹は空いておらず,加えて暑さで食欲が殆ど無い身には調度良い.かき氷の氷自体の仕上がりは阿左美冷蔵と同じぐらいのレベルかな(皿が広いので盛りが浅くこちらの方が全然食べやすいけれど).
天然氷のかき氷,今年は桜の咲く頃に行っただるまや餅菓子店の他は阿左美冷蔵とひみつ堂しか行っていなけど,かき氷の氷の質(量,削り方,盛り方)は,だるまや餅菓子店>ひみつ堂>阿左美冷蔵=ちもと,シロップの質はひみつ堂>だるまや餅菓子店>阿左美冷蔵=ちもと,という感じで,東京の人ならだるまや餅菓子店かひみつ堂に行けばよく,わざわざ秩父やら軽井沢やらに出かけてまで食べる必要はない(むしろがっかりする)と思う.氷の質はかんなで削ったようなきめ細かさが感じられるだるまや餅菓子店がひとつ抜けている.シロップの種類ではひみつ堂が変化があり面白いが,だるまや餅菓子店の和菓子屋らしいラインナップもおすすめ(甘酒や和三盆など.氷の繊細さを味わうにはライチやカルピスも良い).
ついでに行こうと思っていた旅ベーグルが休日だったのが残念だったが,ひみつ堂はまた来そうな感じがしたのでその時に行けばよいかな.谷根千の辺りではないが,千駄木は10年ぐらい前に1年半ほど住んでいた街でもあり,歩いていて何となく懐かしかった.昔何度か行った神名備で昼を食べたのだけど,鰻の稲毛屋もまだあった(ちょうど土用丑の日で繁盛しているようだった).
[追記; 7/29] 天然氷で調べていたら,道の駅いちごの里よしみにある雪ミルクという店が松月氷室を使っているということで,早速行ってみた.通常のシロップのかき氷のほか,期間限定メニューとして,宮崎産 太陽の卵 完熟生マンゴー (600円),秋田産 サマープリンセス 夏いちご (500円),山梨産 白桃 完熟モモ (500円), チリ産 レモン自家製シロップ はちみつれもん れん乳たっぷり (400円; 売り切れ) があったので,いちごとモモをチョイス.シロップの上にジュレ風の果汁がかかっているという構成.どちらかというと多少値段が高くても果汁100%のものの方が好みだけど,氷は確かに天然氷の味わいでふんわり.屋外で陰の無い席だったので暑さでみるみる溶けてしまったけど,暑いだけにとても美味しかった.ここなら車ですぐ来れるので,次は売り切れていたはちみつれもんを頂きたい.
連れていた犬のために,天然氷を分けて下さったのもありがたかったな.350円から食べられるので,天然氷のかき氷がどういうものか知りたい人にはおすすめ.松月氷室のかき氷は多くのところで食べられるようで

をみると近くで食べられるところがあるかもしれない.