だめだこりゃ / 著: いかりや 長介

地元の図書館に初めていったので、本を三冊借りてきた。この本はその中の一冊。いかりや長介というと若い人には踊る大捜査線の俳優役が連想されるのだろうが、自分は後期ドリフ時代が懐かしい人間なので、思い出しながら読んだ。全員集合のエピソードやネタなどをみると、自分が滋賀に住んでいた頃の家族団欒が思い出される。土曜日の全員集合の時間は、営業で出張が多かった父親も含めて家族が揃って笑う幸せな時間だった。今あのときのように心から笑える番組が減ったのは単に自分が年をとって色々なものを見過ぎたせいだろうか。
文章は、若い世代の少し落ち目の芸能人がゴーストライターを使って出す「売るための本」と違い、「自分の人生をまとめるための本」という色合いが強く、自分史をポツリポツリと書き留めるというようなスタイルである。wikipedia にも多く引用されているので、事実として新しいことはそれほど多くは無かったけれど、いかりやさん自身の言葉でそのときの気持ちが率直に書かれているのは嬉しい。主に社会に出てから悪戦苦闘しながら「笑い」に拘ってやってきた半生が謙虚な気持ちで綴られている。
文庫版がいつの間にか出ていたようだ。