ポスター発表で何を聞くか

今回の学会は口頭発表とポスター発表があり,その扱いからし採録時は口頭発表>ポスター発表という評価だったと思われるけど,実際聞いてみると面白かった論文の割合は大して変わらなかった.恐らくこれは,ポスター発表だと発表者と聴講者の距離が近いおかげで,より研究の深みに立ち入った質問ができるからだと思う.そういうわけで,今回口頭発表で不満に感じた点,例えば「どの程度の数値が目標か」とか(特に分野独自の評価基準を使っている場合),手法の前後で結果がどう変わったか(特に悪くなったケースがあればそこについて)とかについて聞けたのは良かった.また,口頭発表では断定的に言いにくい主張(大体の研究では,既存の評価尺度では定量的に差が出なかったり,定性的な分析をする時間がなくて,積極的に書けなかった主張があるもの)についても聞けるのは良い.そういうところを踏み固めることで新しい研究が生まれることもある.
また,最近は面白いなと思うポスター発表を聞いたときは,不躾を承知で「査読者のコメントはどうでしたか」と聞くようにしている(聞き忘れる時もあるが).こういうのを聞けるのはポスター発表ならではで,特に評価を落とすポイントになった点(負例)を聞いておくと,分野的に何が求められているか分かることが多い.