コンピュータ vs. 人間: (詰)将棋編

先週末は,あから2010と清水市代女流王将の対戦で盛り上がっていたようだ.知り合いの研究者も(コンピュータ側で)関与していたので少し興味があったが,結果を聞いてもあまり感慨が湧かなかった(しょうもない話,東大情報は今はH先生が研究科長やっているのか,とかその辺りの方が印象的だったり).
よく考えると,将棋と言えば昔から自分は専ら詰将棋しか関心がなく(日常的に詰将棋パラダイスを眺めたりしていた),史上最長手数のミクロコスモス (1525手詰)がI研の脊尾さんのプログラム(通称脊尾詰)で解かれた時に,将棋(=詰将棋)に関してはコンピュータ vs. 人間は(自分にとっては)終わっていたのだな,と再認識した.同研究室の長井さんの df-pn の方が一般的には有名かもしれないが,自分は脊尾詰のニュースが無ければ果たして情報科学を専攻していたかどうか分からない(プログラムを覚えたのは大学に入ってからだし).それぐらい衝撃的だった.df-pn が出た後,わずかに残っていたコンピュータで解けていない超手数の詰将棋も,今年,IS将棋に参加していた岸本さんの研究で淘汰された.

もはや拾う骨すら残っていない.淋しい限りだ.
ちなみに,詰将棋にハマりたい奇特な人は,若島さんの盤上のパラダイスから入ると良い.これは全詰連の機関誌「詰将棋パラダイス」の歴史を追いつつ,詰将棋の魅力について語ったもの.amazon では手に入らないようだけど,図書館にはあるはず.詰将棋自体だけでなく,それをとりまく閉鎖された世界の住人たちの生き様もまた非常に興味深い.普段の時間つぶしには「5手7手詰めパラダイス」.様々な詰将棋作家の比較的拒否反応が出ない配置の良問が,ハンディな文庫本サイズにまとまっていて時間潰しにオススメ.最長手数の詰将棋,ミクロコスモスを鑑賞したい人は,詰将棋おもちゃ箱の超長編詰将棋リストのページか,作者の橋本孝治さんのページからリンクを辿るべし.
一般人はこのぐらいのハマり具合で止めておかないと,戻れなくなるかもしれない.