はてなダイアリーから広告を削除した
よく知らない間にはてなダイアリーポイントプログラムなるものが始まったそうで,日記に Google AdSense が付加される仕様に変わっていたようだ(9月1日から).8月19日に告知したとあるけど,そんなの能動的に RSS を拾っているユーザにしか届かないし,強制的に表示が変わるような変更を行うのなら,メールで告知するべきだろう.普段ウェブを見る際には,スタイルシートで広告を削除し尽くしているので,全く気がつかなかった.キモ過ぎる.あまりにキモいのでブログから amazon へのリンクも削除した.
ウェブ上の広告が何故鬱陶しいのかを考えるときには,いつもテレビの CM が比較対象として想起される.CM も鬱陶しいことは鬱陶しかったが,まだ耐えられたのは,最初からそれがあったから,ではもちろんなく,視聴作品として質が担保されている点と,箸休め的な要素があるから(それにしては頻度が多過ぎるが).したがって,テレビの CM でも,録画として見る場合には(自由に視聴を休止できるので)かなり鬱陶しく感じられる*1.まあ,CM の是非以前の問題として,民放の放送には(BBC, NHK などに比べて)視聴者が対価を払ってでも見る,あるいは,対価に見合った価値を持つ番組作りの緊張感が欠けているように感じる.ほとんど,くだらない.目的関数が間違っている.
一方,ウェブ上の(特に近年増えているテキスト系自動生成)広告は,質も低く(存在自体に価値がない),その性質上,箸休め的な要素もない.基本的には,トラフィック・スペースの無駄.ウェブ自体が本質的に広告に適した媒体ではないように思う.特に iPhone 上でウェブを見ていて,広告に出食わす場面において,この傾向は顕著で,非常に不快な気持ちになる.大手のインターネット系の企業が,広告料の収入に依存したビジネスモデルを採用しているのは,とても残念な気持ちだ.ある企業が広告料の収入に依存した途端に,その製品も民放化するというか,緊張感に欠けるものになるように感じる.少なくとも,お金を払ってまで使いたいとは感じない.
そういう広告で口を糊する企業を中心として,Computational Advertising なる研究分野が盛んになっているそうだ.広告を Information Retrieval からの進化 (Information Supply) と位置づけたりしている.企業のビジネスモデルで直接的に利益を得ることのないユーザからすれば,「スパムをどう生成するか」を研究しているようなものだが,存在自体が悪とみなされているメールのスパムと違い,肯定的な立場の人たちも少なからずいることから,表立って糾弾し辛い状況になっている.この辺り,非常にたちが悪い.結局,スタイルシートなどを使って,自衛的に対策することになる(個人の知識と努力の範囲ででウェブをクリーンに保てるという意味では救いがあるか).
Computational Advertising を研究する企業が自動生成したゴミ広告をスパムと見なして排除する Computational Anti-Advertising を研究するアカデミアの研究者が増えないかな.そのような企業の勢力が支配的なウェブ業界では,なんとか八分にあう可能性が高いか.
参考
- はてなブックマーク - はてなダイアリーポイントプログラムを開始しました - はてなダイアリー日記
- What Happened to Yahoo by Paul Graham
- The Next Generation Web Search and the Demise of the Classic IR model by Andrei Broder
- Don Norman: Google doesn’t get people, it sells them – Gigaom
[追記] さらに裏ではもっとすごい変更が行われていたのであった.